2017-01-02
「家具作りたいおっさん」のひとり言
第9話:季節とともにリズムが変わる。たくさんの気づきと…「火事からの5ヶ月のキセキ」
気づき。だんだんクリアに見えてきた大切なこと。
7月31日に火事がありました。
8月は訳も分からないまま必死に走った時間。
9月はとにかく焦りとの戦いだった耐えた時間。
10月は色々な事が少しずつ進みはじめた時間。
そしてそれから、なんだかリズムが変わった気がします。
暑い暑い夏はいつの間にか終わっていて
ふと気づいた秋はもう吹く風が肌寒く
でも空は抜けるように青い、そんな季節の変わり目
たまたま歩いた愛媛の道は見とれてしまうほどの紅葉でした
紅葉に気づく余裕ができたのと同じような事なのかもしれません。
たくさんの気づきと、見つめ直す大切な時間。
やっぱり!きっと昨夜のぞわぞわは本物。
淡路島の物件との奇跡の出会いが10/22のこと。
夜だし暗かったので明るいうちに見てみようと
翌日もう一度見に行きました。
高速津名一宮ICから車で1分ほどの国道沿いの立地
改めて見ても、やっぱり理想の物件な気がしました。
淡路市で大阪からも近く、高速津名一宮ICから車で1分ほどの
国道沿いという抜群のアクセスの良さ。
海の見える丘ではありませんがw
いろいろ物件を探すうちに「海が見える場所」は
「工房でなくても良いのかな…」と考え出していました。
海が見えると気持ちは良いのですが
どうしても潮風で機械には良くないし
「丘の上で見晴らしが良い」という条件になると
別荘地になってしまい倉庫物件がないのです。
不動産屋さんからも「土地から買って建てた方が良いよ」と
たくさんの業者さんからアドバイス頂いて
「やっぱり丘の上は次のステップかな…」と ←まったく諦めてはないw
オーナーさんが旅行に出ていて日本にいないらしく
賃料や金額的な諸条件などはこの時点では分からなかったのですが
前のROOTS FACTORYよりはだいぶ大きな建物です
昨夜感じたぞわぞわはやっぱり本物な気がする!
と嬉しくなりました。
自分達の場所を自分達で創る。タニヨンベース
翌日、10/24からタニヨンベースの解体がはじまりました。
「はじまりました」と言っても自分たちでやったので
石川くんと解体中
「解体はじめました!」の方が正しいんですけどねw
タニヨンベースのコンセプトは第7話でもご紹介したのですが
ROOTS FACTORYのテーマである「家具を楽しむ」を追求した場所
都会の真ん中にある家具の秘密基地
がタニヨンベースのコンセプトなんです。
秘密基地と名乗るからにはやっぱり
なるべく自分達の手で創りたい。
2階の天井を落としているところ
そう思いました。
もちろん予算を抑えるっていう大事な意味もあるんですけどね。
低予算で抑えるために我慢我慢…ていう方向じゃなくて
自分達でやることで
思いっきりやりたい事やるけど結構コストは抑えられる。
っていうのを目標にしています。
そんな感じで張り切って解体をはじめたのですが…
やってみるとめっちゃ過酷w
リサイクル屋さんの時に内装の解体工事なんかはした事あったり
過去にマンションの1室をリノベーションしたりもしたので
解体作業は初めてって訳ではなかったんですが
ココの解体はめっちゃ大変でした。
漆喰の壁の粉の量と重さのすごい事!
この和室の天井の下というか上には↓
和室の天井を落としたら中から鉄板の天井が出てきたり
こんな鉄板の天井が隠れてました
もっとすごかったのは1階の天井
落としても落としても天井が続いてびっくりしました
なんと1階は天井が3層になってました…
当然解体ゴミの処理もその分量が多くなり高額…
自分達でやったら安いしめちゃ良いやん!とか思ってたんですが
世の中そううまくはできてないですねw
しかも廃材の搬出にトラックがどうしてもいるので
第3話で仲間入りした軽トラックが必要でした。
サンバー号(軽トラの名前)は石川くんが愛媛工房で使ってるので
石川くんが大阪に戻ってくるタイミングに合わせて解体作業…
スケジュール調整もなかなか大変。
でも、
自分達の場所を自分達で創る。
という崇高な目標のために頑張りました☆
そんなこんなでタニヨンベースの建物は
必死の解体作業の甲斐あって
その本来の姿を現したのです。
いつしか当たり前になっていた「創れる」こと…
火事以降、火事跡の片付けやいろんな手続きや、
淡路島の物件探しやタニヨンベースの解体工事でバタバタな上に
愛媛工房では燃えた家具の再製作をしていたので
通常の業務(リメイクやオーダーメイドの打ち合わせ、試作etc)は
まったくストップ(というかやりようが無い)状態でした。
つまり家具を創ることができない
そんな状態だったんです。
辛く苦しい時間だったのは確かなのですが
もうひとつ感じた事がありました。
今まではいつでも「創る」ことができました。
いつの間にか当たり前だと思ってた工房の存在
工房がすぐ近くにあって、ありがたい事にオーダーが常にあって
長い時間かけて培ってきた色々な方法や環境で
「やりたい」と思うことは一応全部できる状況だったんです。
今回「今までできてた事がまったくできない」状況になって
お客さまにもすごくご迷惑をおかけして
申し訳なく、歯がゆい気持ちでいました。
再製作にしても慣れない環境で探り探りです。
「ROOTS FACTORY工房だったらもっとスムーズにできるのに」
そう思う事の連続でした。
でも次第に頭に浮かぶようになってきた考えがあります。
創れる環境が当たり前だったっけ?
ある時突然「家具屋になる!!」と決意して
必死に必死にやってきました。
できない事はできるまでやる!的なw
僕が自分で全部作っていた時は
週7日工房にいるのは当たり前で
夜明けと共に工房に来て翌2時頃に帰宅…
そんなのが当たり前でした。
当時は深夜によく途方に暮れてた事を思い出します
「仕事」としてやってもらうには、そんな状況はあり得ないので
今は週休2日、もちろん時間も普通の時間です。
でもその当時にまっすぐに向き合っていた気持ち
創りたい!!っていう思い。
決して薄れてはいないんですが、できる環境が当たり前になって
つくれる事への感謝というかなんというか…
そういった真摯な気持ちやモチベーションが
昔以上に持てていたのか?と自分に問いかけてみると
色々と考えるべきところがあるかも、と思ったんです。
ROOTS FACTORY立ち上げ当初に掲げていたテーマは
「欲しい家具を作る」でした。
色々と経験を積み、技術的な幅も増え、
「作る」もっと手前にある大事な事が「創る」だと感じたり
「暮らし」や「生き方」という大きなテーマに向き合うにつれて
「家具を楽しむ」に進化しました。
楽しくなる家具ってなんだろう?とか考えながら
今回、火事というとっても大きな出来事があって
意図せず今までになかった何もできない時間がたくさんできました。
どんな時間もそれをどう過ごすか?
で意味が変わると思っています。
行動はできなくても考える事はできる。
いっぱいいっぱい考えました。
なにをするべきなのか?
なにができるのか?
そして、
なにがしたいのか?
小雨の降る宮崎の・・・え〜と、なに神社だったかな・・・
ずっと考えていました。
そして、ある出来事をきっかけに
「あ、そうか!」という気づきがありました。
またひとつ、ROOTS FACTORYとって
大切なことが増えたのです…
つづく・・・
「家具作りたいおっさん」阪井
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お正月SP連載ブログ 全12話
〜ROOTS FACTORY火事からの5ヶ月のキセキ〜
2016年7月31日、火災でほとんど全てを失くした絶体絶命のピンチから5ヶ月、たくさんの優しさとご縁に支えられ「ありがとう」では到底足りない感謝の気持ちと万感の思いを込めて綴った5ヶ月間のキセキです。
第1話:え?まさかウチが!?火事は突然に
第2話:開けない夜はない。信じて進む大切さ。
第3話:出会いと別れ。現実、それは過酷で果てしなく、残酷で無慈悲?
第4話:宮崎へ行く理由。どこで誰がなにをするか?
第5話:宮崎から戻ってからの1ヶ月。愛媛に淡路島に授業に谷4に船。
第6話:やっとはじめられた片付けと、長い長い長い待ち時間。
第7話:GAME OVER寸前!やっとバトンをもらえたリレー走者とタニヨンベース
第8話:宮崎からの偶然の連続。とんでもない割烹「和楽」
第9話:季節とともにリズムが変わる。たくさんの気づきと…
第10話:衝撃的な大失敗!決死のプロモーション大ゴケ!!でも…
第11話:店長浜ちゃんの卒業と一風変わった求人。気持ちの距離を縮めたい。
第12話:最高の5ヶ月間の体験。全ては縁でできている!
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