”ゼロ”からのスタートではない家具のリメイク。分解が大変なことも


家具のリメイクは、普通の家具製作と違ってスタートが”ゼロ”からではありません。


”元ある形を分解する”というゼロに戻す作業をしてから、新たな家具へと再構築していきます。


家具のリメイクは家具を分解するところから始まる


中には、どうやって分解するのが良いかがわかりにくい家具もあります。たくさんの経験から「きっとこうだろう」という仮定はできるけど、時に「そんなことが!?」と驚くような造りになっている家具もあったり。


そのため、加工をする際には細心の注意を払わなければいけません。


先日ローテーブルのリメイクについてご紹介しました。

脚を天板に合わせてツートンカラーに♪耳付きローテーブルをリメイク



お客様のご親戚が工房で作られたという耳付きの無垢天板のローテーブル。


ダイニングテーブルへのリメイクをご依頼いただいた無垢耳付き天板のローテーブル


ダイニングテーブルへのリメイクをご依頼いただき、新しく脚を製作&取り付けすることになったのですが・・・


脚の取り付け部分が埋め木されているローテーブル


脚の取り付け部分がこのように埋め木されていて、外から見ただけではどのように分解できるかがわかりませんでした。


「えぇ〜!埋め木されている部分のビスを取れば、分解できるんじゃないの?」なんて私は思ってしまったのですが。


家具作りたいおっさんいわく、そうやって安易に手をつけると取り返しのつかないことになってしまうこともあるそうです。


かけがえのない世界に一つだけのお客様の家具


私たちルーツファクトリーがお預かりしているのは、世界に一つだけのお客様の家具。


決して「いけると思ったんですけど、ダメでした!てへ!」なんてことは許されないのです。


さて、なぜ埋め木部分のビスを外して分解したくなかったかというと。


この部分は脚の台座にもなっているわけで、外してしまうと新たに台座を製作&取り付けしなくてはなりません。


そのため、できることならこの台座から下だけを切り離して、そこに新しい脚を取り付けたい、その方が綺麗だろうという見解でした。


ローテーブルの台座を残して脚を外すことができないか方法を探る


「なるほど!そしたら脚をスパッと切っちゃえばいいですね!」私がノーテンキに発言すると、家具作りたいおっさんは「いやいやいやいや」と否定しました。


脚が台座部分にどのように接合されているかを考える必要があると。


もし、脚がビスで固定されていたのなら、そこに刃を通したら大変なことになります。刃がダメになってしまうし、下手をすれば金具の破片が飛んでその場にいる人が怪我をしてしまうことも。


そこでどうしたかというと、慎重に少しずつ刃をあててみました。


まずは、絶対に金具が入っていないであろう位置からカットして、


組立式でないローテーブルの脚を外してリメイクするための方法を模索


大丈夫だったので、根元の近くでも刃を入れてみました。


脚に金具が入っていないか少しずつ刃を当てながら確かめる


その結果・・・


これは、脚を切り離すのは難しそうだぞと判断。


えぇぇ!?なんと!!


まさか、こんなに慎重に作業しても思い描いていた加工ができないことがあるなんて。


家具のリメイクは、”完成までのベストな道のり”が見えにくい作業。改めてそう思いました。


しかし、一つの方法がダメだったからといって諦めるようでは元祖リメイク家具屋の名が廃ります。


台座ごと外して、台座と脚を新規製作することにしました。


埋め木を掘りローテーブルから脚の台座を外す


天板は無垢材ならではの反りなどもあって、合うように台座を作るのは大変だったようですが。


ローテーブルの脚の台座を外したところ


そうして様々な困難を乗り越えてリメイク完成したダイニングテーブルがこちら。


脚は天板の色味に合わせ左右で違う色に塗装


あぁ…素敵…!


天板の趣深さが引き立つ、スタイリッシュな脚。これまで書いてきた製作秘話が信じられないくらい、凛とした佇まいです。お客様にも喜んでいただけました。


天板に2種類の木材が使われたテーブルのリメイク後


「ローテーブルからダイニングテーブルにリメイクする」というと、脚を新しく作るだけで完了するのではないかと思えますが、実は新しい脚の製作以外にもこんなに色々な作業工程があるんですね〜。


リメイクしたテーブルの天板裏側


家具の造りによって製作方法も千差万別のリメイク。う〜ん、奥深いですね。


これからも色々な家具のリメイク製作の裏側を書いていこうと思います(^^)





ユリマタタ
ルーツファクトリー東京店長
ユリマタタ

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