脚がもげた!パキっと割れても大丈夫!ルーツの椅子修理を詳しく解説


こちらの椅子はお客さまの店舗用の椅子で、何脚もあるうちの1脚だけが壊れてしまったものだったそうです。特注で製作したから、今ではもう購入不可・・・。



なんとかしてこの1脚を直したい!



店舗用の椅子修理


そんなご要望にROOTS FACTORYがお応えしました!椅子修理って、どんなことをしてるの?ということをご紹介するために、今回はROOTS FACTORYの椅子修理の様子を写真と一緒にお届けします♪


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もげてしまった脚。接続部分の「ハンガーボルト」と「オニメナット」について


ハンガーボルトが外れて脚がとれてしまった椅子


こちらが、壊れてしまった椅子です。「ハンガーボルト」という脚と本体をつなぐパーツが外れてしまっていました。


半分が木ネジ、半分がボルト状になっているハンガーボルト

【画像:株式会社モリギン「ハンガーボルトの取り付け方」より】


ハンガーボルトとは、このように半分が木ネジ、半分がボルト状になっている金具のことです。半分を木部にねじこみ、もう半分を「オニメナット」や「六角ナット」と組み合わせて色々なシーンで使えます♪


鬼目ナットとも書くオニメナット

【画像:株式会社モリギン「オニメナットの取り付け方」より】


そして、こちらが「オニメナット」。今回修理した椅子の本体側に入っていたのもオニメナットです。「鬼目ナット」と書くこともあり、そのイメージにふさわしく外側がギザギザ・・・木部にしっかり食い込みます。


ハンガーボルトとオニメナットを使えば外側から金具を見せずに部材を連結できて、しかも工具を使わずに組み立て&解体ができるので、組み立て家具にもよく使われます♪

「ハンガーボルト」の付け直し。もとより長いものを、その理由は?


椅子の修理のお話に戻ります。


脚の穴が広がり抜けてしまったハンガーボルト


こちらの椅子は、脚にねじこんであったハンガーボルトが脚から抜けてしまっていました。これでは穴が広がっているので、同じようにハンガーボルトを入れ直すだけでは、また抜けてしまいます。


ハンガーボルトを入れる穴をドリルで掘る


そこで、もげて広がってしまった穴をドリルでさらに掘ります。なぜかというと・・・


元のハンガーボルトより長いものを使う



元のものよりさらに長いものを使ってやり直すため!



実はこちらの椅子、本体側も脚を取り付ける木部がパックリと割れ、「砕けた」に近い状態になっていました。その部分は修復しても強度が出ないので、金具をもっと奥深く入れることで強度を出すことにしました。


家具作りたいおっさんいわく、もともとが深いものになっていない理由は効率化のためだそうです。深い方がもちろん強度はあるけど、パーツ代が高くなるし、より精度が必要になります。そして加工時間も増えるので、大量生産品は「最小限」が選ばれることが多いみたいです。


ハンガーボルトは六角ナットを入れて回す


ハンガーボルトは、ペンチなどで握って回すとネジが傷んで使いものにならなくなるので、六角ナットを入れて回します。2個六角ナットが入ってるのは、1個だとナットが回ってねじ込めないから。2個入れて締めると止まるので、その状態でねじ込んでいきます。


ハンガーボルトを入れる穴に緩み防止のためボンドを流す


もっと深い穴を掘ったので不要ではありますが、多少隙間があくこともあり、緩む原因になる可能性もあるので、ボンドを流します。


ハンガーボルトをレンチで回して取り付け


ハンガーボルトを脚に取り付けているところです。写真だと分からないんですけど、レンチで回しているそうです。


これでひとまず、脚側の修理は終わりました。

ボンドで圧着!割れてしまった脚部取り付け位置の補強


先ほど、本体側の脚取り付け部分がパックリと割れてしまっていたと書きましたが、その写真がこちら。


オニメナットが入っている本体側が割れてしまっている


最初にご紹介した「オニメナット」が入っている部分が割れてしまっています。裏から補強は入っているけど、間に挟まるこの木の部分が割れていては、加重をしっかり受け止められません。


本体の割れた部分を丁寧に外す


まずは、割れた部分を丁寧に外します。


ワレをボンドで接着


断面が綺麗で「割れている」「裂けている」状態だったのでボンドを流して接着しました。この時「砕けている」状態だとNGだけど、繊維に沿って割れている場合だとボンドによって割れる前以上の強度が期待できます。


もし「砕けている」状態ならもっと大きく切り取って別の材を移植するそうです。


ボンドを塗り圧着中の様子


こちらは圧着している時の様子。接着時に非常に重要なポイントです。


接着面に均等に圧がかかるように圧着


この時、均等に接着面に圧がかかっていないと、隙間が開いたり、歪んだ状態でくっついてしまうことになります。そうなると強度は激減!すぐもげてしまいます。


「ボンドでつかない」という時は、これが大きな原因のひとつみたいですよ!


ワレをビスで補強


さらに、補強でビスを揉みます。ボンドだけでも十分な強度は得られるはずだけど、念には念を入れて。


本体と脚を合わせチェック


最終チェック、本体とちゃんと合ってるか確かめます。この時点で「修理」は完了です!

念には念を。隅々までチェックし仕上げます。


タッカーでワレを補強


さらに念のため、裂けた部分をタッカーで止めたり・・・


椅子本体内部の汚れをふき取り


本体の内部に汚れがあったので拭き取ったり・・・


椅子本体内部の汚れをふき取り


最高の状態でお客さまにお渡しできるように、抜け目なくチェックします。


椅子の座面裏に金巾(カネキン)を貼って仕上げ


最後に、「金巾(カネキン)」と言われる薄い綿布を裏貼りをして見栄えを綺麗にします。経年によってどうしても劣化してくることがあり、こちらの椅子の金巾もシミが出てしまっていました。裏側ではありますが、張り直すとパキっとします。


椅子修理完成写真


そして、完成です!

末永く使えるように。「元通り」にするだけではない修理


以上、ROOTS FACTORYの椅子修理の一例をご覧いただきました~!いかがでしたか。ROOTS FACTORYの修理は、ただ「元通り」にするだけではありません。


椅子本体のワレをタッカーで補強


その後もお客さまに末永く使っていただけるように、ベストを尽くします。お客さまが気づいていなくて直した方がいいことがあれば、逐一直します。なんと言っても家具愛!


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お客さまの大切な家具、これからもずっと使っていきたい家具が壊れてしまった場合は、どうぞROOTS FACTORYにご相談ください!


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ユリマタタ
ルーツファクトリー東京店長
ユリマタタ

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