思いの詰まった婚礼タンスをリメイク。面影残る神棚用キャビネットに
30年近く前にお客様がご両親にもたせてもらったという婚礼タンスを、お引越しにともなってリメイクさせていただきました。
今回ご相談いただいたのは、東京都新宿区にお住まいのお客様からでした。
お問い合わせ当初、ダイニングセットや食器棚、タンスなど様々な家具についてご相談いただいていたのですが、ご新居のマンションにはクローゼットなどの収納が多いため、「タンスは処分するしかないかなぁ」と仰っていました。
しかし、ルーツファクトリーでは過去にタンスをテレビ台や本棚など、衣類収納以外の様々な用途の家具にリメイクしてきました。
そのことをお客様にお伝えすると、「そんなこともできるんですね!それなら、他に欲しい家具もあるからぜひタンスをリメイクしてほしい」と言っていただきました。
ところで、こちらの婚礼タンス、実はなんとお客様の叔父様が作ってくれたタンスなのだそうです。
洋服タンスは元々3枚扉のデザインだったところを4枚扉にしてくれたりと、仕様をこだわって作ってくれたそうで、お客様にとってとても思い入れのある家具だと教えてくださいました。
ご両親、そして叔父様のことを思うと処分してしまうのはあまりに残念だったと、お客様。「ルーツファクトリーさんに巡り会えて良かったです!」と嬉しいお言葉をいただきました。
お客様から婚礼タンスのリメイクをご依頼いただき、家具作りたいおっさん(ルーツファクトリー代表)とユリマタタ(私)でお引越し前のお家にお伺いしました。
さて、お家に伺う前、お客様は「デスク用のインワゴンや本棚にリメイクしてもらうのが良いかなぁ」と仰っていたのですが…
今回リメイクさせていただいたのは、神棚用のキャビネット!
インワゴンや本棚と、神棚用のキャビネットというと、まったく異なる家具ですが、それはお客様にじっくりとヒアリングをした結果でした。
たくさんのお客様とお話しする中で感じることですが、家具のリメイクについてお問い合わせいただく際に「こんなことだったらできるかなぁ」と制約があることを前提にご相談いただくことが多いです。
たしかに、家具をリメイクするにあたってはイチから家具を作るよりも制約が出てくることもあるのですが、それが先にきてしまっては本当に大切なこと(何のために家具をリメイクするのか)が見失われて「これがしたかった!理想ど真ん中!!」というものが出来にくくなってしまうかと思います。
そこで、ルーツファクトリーが大事にしているのがお客様へのヒアリング。お客様がなぜ家具のリメイクをご依頼くださったのかを丁寧に聞き取り、どうされたいのかを一緒に答え合わせして、イメージを具現化していきます。
そうすると、お問い合わせ当初にご希望いただいていたものと別のものを作るようになることが多々あります。
今回も、そんな経緯でお問い合わせ当初には候補にあがっていなかった「神棚用のキャビネット」を製作させていただくことになりました。
お打ち合わせをする中で、最初は「どうするのがいいかなぁ」と悩まれていたお客様が、”これ!”というものが見つかって前のめりにお話しされるようになる瞬間というのがあります。その時のワクワク感というのはなかなか上手く言い表せないのですが、私たちも一緒にワクワク楽しい気持ちになります。
お打ち合わせ後には、お客様からこのようなメールを頂きました。
「親戚の想いと、結婚からずっと共にしていた思い出の家具。新居には運べないし、処分しようか迷っていたところ…古くなった婚礼家具が、とても素敵に生まれ変わり、娘にまで引き継げる作品になりそうで、心より感謝です。」
お客様から託していただいた想いにお応えするべく、スタッフ一同張り切ります。
そんなこんなで今回も唯一無二のとっておきのリメイクをさせていただきました!
まずはリメイク後の写真をご覧ください。
外観に洋服タンスや和タンスのデザインがたっぷりと活きる仕上がりとなりました。
サイズは、設置場所の寸法に合わせて横幅は600mmに。奥行きは洋服タンスの扉幅を活かして420mmに。高さは「神棚を目線より上に置きたい」とご希望いただいて1600mmに。
正面の扉には和タンスの扉を活かしているのですが、ここに一つこだわりポイントがあります。
両開きだった和タンスの扉を上下に配置することになったのですが、そのままでは扉を開く方向が上下で異なってしまいます。また、全体の高さの兼ね合いで扉を途中でカットしなければならなかったのですが、そうすると飾り彫が途切れてしまってどうも収まりが良くありません。
(元の和タンスの飾り彫)
そこで、家具作りたいおっさんがお客様にご提案したのが、片方の扉の天地を逆さにするというアイデア。
その結果がこちら。扉を開ける方向が揃えられ、飾り彫も一続きのデザインとなりました。
扉を開けると、和タンスの内部にあった引き出しが配置されています。
引き出しの開け閉めが扉の蝶番と干渉してしまわないようにということにも気をつけました。
婚礼タンスのパーツは長年使用されてところどころ傷みもあったため、綺麗に磨き上げて再塗装もさせていただきました。
元のタンスの面影をたっぷりと残しながら大きく生まれ変わったキャビネット。
お客様のご新居に納品させていただくと、とっても喜んでいただくことができました。
設置場所の足元にあったパネルや上方にあった換気口などをかわすことができ、ぴったりと具合良く収まりました♪
そして、納品直後、お客様が「こんな感じになりました」と、神棚を祀られたご様子をメールで送ってくださいました。
「サイズもピッタリ!主人も、ちょうど良い高さで有り難いと話しています。婚礼家具を用意してくれた両親にも、早速ラインしたら、『和ダンスと洋ダンスが、立派な神棚に変身して驚いた!』とビックリ!大変喜んでくれていました。
転居の際に迷った家具処分…リメイクをお願いして本当に良かったです。
末永く愛用させていただきます。心から感謝申し上げます。」
頼んで良かったと思っていただけるリメイクになって何よりです!
お客様の思いがぎゅっと詰まった家具。きっとお客様の暮らしに末長く寄り添ってくれる家具になるのだと思います。
素敵なご依頼をいただきありがとうございました。
ユリマタタ