2017-12-08
家具へのこだわり
面白そう!で家具を依頼!?思いがカタチに、そして空気に!
初めて訪れる場所で初対面の人に会う時って緊張しますよね。でも、そんな状況でもなぜか緊張を感じないときって、ありませんか??あれ?思ったよりリラックスできてるぞみたいな。
不思議ですよね~!私ユリマタタもそんな経験をしたことがあります。
それは、6月にユリマタタが家具を知るための旅「家具の旅」に行った時のこと。「家具の旅」では、大阪へ行き、ルーツファクトリーの家具を使っていただいてるお客さまのオフィスにインタビューをしに行ったのですが、そこでそんな経験をしました。
お邪魔したのは、小規模事業者向けの事業カウンセリングやコーチングなどをされている(有)バックステージ代表の河合さんが運営されている「session STUDIO」さん。
「session STUDIO」さんで、とっても不思議なリラックス体験をしました。
目次
初っ端から失敗を打ち明けられる不思議な場「session STUDIO」
ユリマタタはこの取材の日、いつも以上に緊張を感じていました。なぜかというと、ご挨拶の時に渡そうとしていたお土産を忘れてしまったから。
実は、前日に淡路島で玉ねぎの収穫体験をしていて、たくさん収穫した玉ねぎを両手いっぱいに持ってご挨拶しようと思っていました。でも、まさかのうっかり!その玉ねぎを淡路島に置いてきてしまったのです!(/o\)
「美味しい玉ねぎ、お土産にしたかった・・・取材を始める前から失敗しちゃった・・・」
そのことが気がかりで、いつも以上に緊張が高まっていました。「ちゃんと明るくご挨拶できるだろうか・・・失礼なくお話しできるだろうか・・・」とドキドキしていたのですが、
ですが!
session STUDIOさんの扉を開いた途端、なんだか心地の良い開放的な気持ちになって、
「淡路島の美味しい玉ねぎを両手いっぱいにお渡ししたかったんですけど、忘れてきちゃいました!てへ」
と、失敗を堂々とお話ししちゃいました!ええぇ!?今までの緊張はどこへ!?初めての場所で初めて会う人に、かつてこんな挨拶をしたことがあっただろうか・・・纏っていたはずの鎧がご挨拶前から外れるという、とても不思議なリラックス体験にビックリしました。
でも、このリラックス体験は、ただの偶然ではありませんでした。「session STUDIO」を運営されている河合さんにインタビューをしていくうちに、「session STUDIO」さんの家具、空間、空気について伺うことができ、この謎が解き明かされていきました!
「session STUDIO」のコンセプトは「不完全を楽しむ場」
「改めまして、ルーツファクトリーの山本と申します!今日は、ルーツファクトリーの家具をお客さまがどのように使われているのか、というのを見たくてお邪魔しました!よろしくお願いします!」
「バックステージの河合です。家具をどのように使ってるか、ね。まず、この場のコンセプトなんだけどね。ここは『不完全を楽しむ場』なんですよ。」
「不完全を楽しむ??どういうことですか・・・?」
「ここはお客さんが集まって、トライアンドエラーをしていく場所なんです。事業をする人は、『ある程度カタチにならないと勝負したくない』という人が多いけど、でも、世の中は『どうすれば正しい』っていうことはない。やってみたら、出てくる反応ってあるじゃないですか。そういうトライアンドエラーの方が大切。だから、不完全を楽しんで、どんどん挑戦していこうよっていう。」
「挑戦も失敗もできる場所、ということですね。」
「だからね、ゆりちゃんが入って来た時に、いきなり玉ねぎの話をしてくれて『よしっ』と思ったね。ここは玉ねぎの話をしてもいいんだって、感じてもらえたのが嬉しかった。今の自分を出していいところ。」
「自分でもビックリしました!」
「お客さんがパッと来た時に、言葉で説明しなくても『僕らがやってるのは、こういうこと』って腑に落ちる、そんな場にしたかった。よく河合さんが空気を作るからですよって言われるんだけど、僕らは場には意味があると思ってて。」
空気で感じる、「不完全を楽しむ」ということ。お話しを始める前から緊張がほぐれたのは、その空気で溢れていたからだったんですね。
では、そんな空気が溢れる「場」は、どうやって作られたのでしょうか。
「不完全を楽しむ」空気をつくる家具たち
「ありのままでいいんだ」と肌で感じる不思議な場「session STUDIO」さん。白い壁にカラフルなスツール、素朴で親しみやすいデスクや棚が置かれた、とても明るい空間です。
代表の河合さんは「場には意味があると思う」とオフィスに置いている家具についてお話ししてくださいました。
わざと粗く仕上げられた家具
「例えばこのデスクはね、机は汚れていくものだと思っているから、工作室のような机をイメージしてて。普通のオフィスだったら、こういう塗装が途中で終わっているように見える『不完全を思わせる机』は良しとされないのかもしれないけど。『不完全を楽しむ』このオフィスにはこのデスクがいいんです。」
「棚もそう。よくぞここで止めてくれたって感じ。不完全だからこそ、期待も膨らむ。もちろん、品質的にはバッチリなんだけど。」
自由自在に空間を使える家具
「ちなみに、このデスクは脚が蝶ネジで外れるようになってるんです。このオフィスは色んな空間の使い方をするんです。僕が事務作業をすることもあるんだけど、ワークショップの場になったりトークセッションの場になったり・・・その時々に合わせてデスクを出したり片づけたりできます。」
【session STUDIOさんでのトークセッションの様子】
「椅子も、背もたれ付きの椅子ばっかりだと動かしにくいからスツールを作ってもらったり。おかげで自由自在に空間が使えます。」
多種多様な人が集まることを表す家具
「ここ、マルシェの会場になったりもするんですよ。」
「マルシェですか!本当に色々なことなさってるんですね!」
「そう、色んなクリエイターさんが集まって。ここには、色んな人が集まる。」
【『こもれびと Jimdoマルシェ』の様子】
「このスツールね、生地の色を選ぶときに何色にしようと思って。」
「カラフルで可愛いですよね~!」
「そう、カラフル。ルーツファクトリーさんに頼む時に『色んな色できますよ』って言うから『えっ!じゃあ色んな色いってもいいですか!?』って聞いたの。そしたら『いっちゃいましょー!』って感じで言ってくれて。『オフィスで色んな色を使ってもいいのかな』って迷ってた部分があったんだけど、その時『多種多様な人が集まる場所というコンセプトに合う』って後押ししてもらえた。」
「このスツールを見た瞬間、独特な色使いに『こんな色の組み合わせもあるんだ~』と驚きを覚えました。すごく新鮮。先ほど河合さんが『言葉にしなくてもやっていることがお客さんにパッと伝わるような場にしたい』と仰っていましたが、何て言えばいいんでしょうか・・・このトキメキが、「不完全を楽しむ」とか「多種多様な人が集まる」とか、言葉にするよりも空気を通して伝染するように感じます!」
なぜROOTS FACTORYに家具の依頼を?
「不完全を楽しむ」空気を作るための、色々なこだわりが見える「session STUDIO」さん。この空間に置く家具づくりを、なぜルーツファクトリーにお任せいただいたのか、そのことについて、ユリマタタは聞いてみたくなりました。
理由は、「面白そうだったから」。
「では、河合さんがルーツファクトリーに家具を依頼されたのは、ルーツファクトリーが河合さんの思いを実現すると思ったからですか?」
すると、河合さんは即答しました。「それは違う。」と。
「頼んだのは、面白そうだったから。」
「えぇっ!面白そうだったから?自分の新しいオフィスの家具を一式、面白そうという理由で依頼されたんですか・・・??」
「面白そうだから」という理由で依頼して、思い通りのものは作れるのでしょうか?不安はなかったのでしょうか?疑問がたくさん浮かびましたが、河合さんは続けてこんなお話をされました。
「依頼されたからといって、迎合しないで」
まず、河合さんはがルーツファクトリー代表の「家具作りたいおっさん 阪井」と出会ったのは、とあるプレゼン大会でのことだったそうです。そして、そこで阪井が「本気でインドカレーを食べる時は、ターバン巻くんですよ」と宣言していたのが印象的だったと仰いました。
「この人、おもろいと思って。『本気で遊ぶ』ができる人なんだと思って。本気で遊ぶ人は、ウケを狙いに行かない。迎合しない。」
「迎合、ですか?」
「僕、『迎合』はいらないと思ってるんです。つまり、依頼されたからといって、僕のために仕事をすると思わないでほしいんです。よく、インテリア関係の色んな企業案内で『最高のオフィスファシリテーションを』って言ってるところがあるけど、僕には何をしたいのかよくわからない。部屋を活かすのは人次第だと思ってるんですよ。『この人を喜ばせるために』じゃなくて、『この人の先にいるお客さんをどうやって喜ばせるか』を一緒に作りたい。」
【session STUDIOさんでのワークショップの様子(写真:「バックステージ」さんホームページより)】
「『河合さんが喜ぶ』じゃなくて、『河合さんのお客さんが喜んでこそ』意味があるんですね。」
「そう、それでね、いわゆる依頼、受託、納品ではいいものができると思ってなくて。100%正しいコミュニケーションはなくて、最大限期待したって絶対違うことがでてくる。だから、面白いことをやってくれそうな阪井さんに任せた。どんなものができるか楽しみだった。」
「途中で予想外のことが起きるかもしれないけど、それさえも楽しめる予感というんでしょうか。」
「そうそうそう、楽しくなって盛り上がりすぎて・・・あれ、そろそろ請求書出してもらおうかな、みたいなね。」
予算との葛藤。その選択に「思い」はあるか。
楽しみながら進んだという「session STUDIO」さんのオフィス作り。しかし、打ち合わせ中には、「えっ!」と驚く出来事もあったそうです。
「ひとつ、すごく思い出に残ってることがあって。僕、阪井さんに怒られたんですよ。」
「え!?お客さんの河合さんを、怒ったんですか??」
「うん、予算もないしと思って、阪井さんにポロっと言ったんです。『もう、IKEAの家具も使おうかな』って。そしたら、めっちゃ怒られた。」
「河合さん、『これが、いい』じゃなくて『これで、いい』になってませんか?って。」
「そこでハッとしました。たしかに、楽な方に行こうとしてるかもしれないと。その選択には僕がデザインした思いを、のせることができていない。」
「いや、でも、お客さんを怒るって、とてもじゃないけど想像できないです。」
「うん、だからね、阪井さんの怒ってくれた勇気に感動しました。阪井さんは『この人を喜ばせるために』じゃなくて、『この人の先にいるお客さんに喜んでもらうために』を本気で考えて怒ってくれたんだなと。僕はモノはデザインできないけど、『不完全を楽しむ』という『思い』はたしかにデザインしていて、その思いを阪井さんはしっかりと受け取ってくれてるんだって。」
「は~~~!『依頼、受託、納品』の関係だったら出てこなかったようなエピソードですね・・・!」
「本当に。楽しいこと、というのは楽なことではないんだよね。」
まるでおでんのつゆのように・・・醸成されていく空気
「session STUDIO」さんが、不完全を楽しむ場となるよう思いをいっぱいに作られたと知り、ユリマタタは「なるほど、だからこんなに素敵なオフィスなのかぁ」と納得しました!
そして、さらに、河合さんは言いました。「オープンした日がゴールだと思っていない」と。
「そうやって、妥協せずに作った『不完全を楽しむ場』だから、今オフィスができてから2年経つんですけど、どんどん空気が醸成されていってる感じがするんです。」
「空気が醸成されるというと、どういうことでしょうか・・・?」
「僕は『空間』は作ってもらいたくなかったんです。『空気』を作りたかった。未来への余白を残したいというか。そして、2年経った今、作ってもらった家具と、作ってきた空気がいい味を出しているんです。時間をかけて醸成されていってる。まるで、おでんのつゆが継ぎ足されていくような感じ。たぶん、最初してくれた玉ねぎの話は、オープン当初に来てもできなかったんじゃないかな。」
「妥協せずに作ったものと、その思いを軸に作り続けているものが『空気』となって、初めて扉を開いた私に伝わったんですね。」
「ずっとあるから生まれてくることがあると思っています。不完全は楽しい。成長できるから。阪井さんは、この思いを一緒にカタチにしてくれました。」
「今まで、失敗やできないことがあることって後ろめたかったんですけど、session STUDIOさんの空気を体感して、河合さんのお話を伺って、『不完全を楽しむってサイコー!!』と心の底から思いました!すみません、あまりにもお話しが楽しくて、だいぶお時間をいただいてしまいました!今日は素敵なお話をたくさんありがとうございます!!」
インタビューを終えて。「在り方」をあらわす家具
「不完全を楽しむ」ことを体感して、大興奮の取材となりました!今回の記事では収まりきらないくらい、たくさんのお話を伺い、そしてユリマタタも思ったことをお話しできて、とっても楽しい時間でした。河合さん、ありがとうございます!!
「session STUDIO」さんの扉を開いた瞬間に伝わってきた「何だかよくわからないけど、楽しい空気」。最初は、そんなに一瞬で感じるというのは、「空間」のデザインによるところが大きいのかな?とか思ってたんですけど、それだけじゃないですね!考え甘かったー!
河合さんの「不完全を楽しむ」という思いのデザインがあって、それが空間としてカタチになって、さらにはその空間が思いとともに月日を経て空気となっていく・・・想像以上に深かったです!
ユリマタタはROOTS FACTORYの一員になってからというもの、家具はただのモノではないという思いがずっとあるのですが、今回の取材を通して、家具は人や場の「在り方」にもなるんだと思いました。
思いを込めて作った家具は、月日を経てもその思いを表わし続ける。他所から来た人にもそこでの「在り方」を伝えてくれる。そして、ROOTS FACTORYはそんな家具を届け続けたい、改めてそう思いました。
「家具の旅」取材エピソード、家具リメイクのお話も!
さて!これまで「家具の旅」ブログとして、お客さまのオフィスに伺って取材させていただいたことを書いてきましたが、実はお客さまのお家に納品に伺った時のエピソードもあります。
お客さまの思いが詰まった家具のリメイクの納品。心がギュッとなって思わず泣いちゃう、とても素敵な瞬間でした。こちらもブログでご紹介しますので、どうぞお楽しみに!
ルーツファクトリー東京店長
ユリマタタ
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「家具の旅」取材記事 第1弾↓↓↓
「家具の旅」取材記事 第2弾↓↓↓
「家具の旅」 あらすじ↓↓↓
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