受け継いだ屋久杉の茶棚を本棚に。世代をつなぐ家具のリメイク

屋久杉の茶棚を、今の暮らしに合わせてリメイク。たっぷり収納できる本棚に生まれ変わりました♪
ご依頼くださったのは、大阪府にお住まいのお客様。「食器棚を本棚にリメイクできないでしょうか?」とご相談いただいたのが始まりでした。
詳しくお話を伺うと、それは亡くなられたお祖父母様から受け継がれた大切な家具だそう。長年大切に使われてきた家具は、味わい深く、どこか懐かしさを感じる佇まい。木の表面には年月の跡がやさしく刻まれていて、ぬくもりが感じられました。

サイズは W1000 D360 H1680。
食器棚としてお使いだったこの茶棚は、その名の通り、茶器や茶道具などを飾るために作られたもの。細やかな造りとやさしい風合いが魅力で、日本ならではの美しさを感じさせてくれる家具のひとつなんです。

ですが、すでに別の食器棚をお持ちだったり「茶棚としては使わないかも」となると、どう使おうかな…と悩んでしまいますよね。
そこでお客様は「この家具が本棚として使えたらいいのに」とひらめかれたのだそう。全体のサイズはそのままに、ガラスの引き戸から上部を本棚にリメイクしてほしいとのご希望をいただきました。
雰囲気はそのままに、本棚として使いやすい形にしたい――。そんなお客様の想いを受けて、家具の状態を丁寧に確認しながら、最適なリメイク方法を考えていきました。

今回のリメイクでは、全体のサイズをそのまま活かすことに。そのため、仕上がりはたっぷり収納できる本棚になります。とはいえ、長年の使用で一部に汚れや傷みも見られ、強度の面でも少し心配がありました。
茶棚は本を入れることを想定して作られていないため、そのまま棚板を増やすと、重みで壊れてしまう恐れもあります。だからといって、上部を丸ごと作り替えてしまうのは少し違う気がする…。
せっかくリメイクするのだから、思い出の詰まった家具の表情はしっかり残したい。そこで今回は、側板をそのまま活かし、内部のみを新しく作り変えることに決定!

また、引き出しの取っ手金具が当たる部分が剥がれてしまっていたため、こちらもきれいにしてほしいとのご要望も。合わせて、内部の汚れも丁寧にお手入れし、これからも気持ちよくお使いいただけるよう、全体をしっかりと整えていきます。

お祖父母様から受け継いだ、味わい深い家具の雰囲気はそのままに。用途の異なる家具へと生まれ変わり、お客様の暮らしに寄り添う本棚になりました。
完成後の姿がこちらです!

全体の形やサイズは変えず、上部の内部をくりぬき、本棚として再構築。既存の側板に直接棚板を取り付けると強度が足りないため、内側に新しく本棚となる箱を作り、その中に棚板を設置しました!
この方法なら、外観や構造を変えることなくリメイクが可能です。思い出を残しながら、しっかりと本を収納できる家具に生まれ変わりました。

棚割りは上から 165mm・209mm・320mm。
文庫本だけでなく、さまざまなサイズの本を収納したいというご希望に合わせ、お持ちの本の高さをもとに3分割しています。

さらに、これからも長く気持ちよくお使いいただけるよう、全体を丁寧に美装。木目の美しさが際立ち、艶やかで上品な仕上がりになりました♪
取っ手金具が当たって傷んでいた部分は、研磨と塗装で自然に馴染ませ、目立たないように仕上げています。

外観だけでなく、収納内部もしっかりとお手入れを。見えない部分もきれいに整えることで、使うたびに心がほっと和みます。本棚としても収納家具としても、長く愛していただけるように仕上げました。

完成した家具は、もともと上下で分割できる構造のため、分けた状態でお届け。たっぷり収納できる大きな本棚ですが、お部屋に運び入れる際も安心です♪

受け継いだ茶棚を本棚へリメイクしたことで、家具は再びお客様の暮らしの中で活躍する存在に。日々の中でふと触れるたびに、お祖父母様の思い出や存在を感じていただけたら嬉しいです。

大切な家具をリメイクするという決断には、少し勇気がいります。けれど、家具は「使ってこそ生きるもの」。受け継いだまま仕舞い込んでしまうよりも、今の暮らしに合わせて形を変えることで、思い出もまた受け継がれていきます。

この度は、素敵な家具のリメイクをお任せいただき、本当にありがとうございました。また何かお困りのことなどございましたら。いつでもお気軽にご相談ください♪

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