第2話:開けない夜はない。信じて進む大切さ。【火事からのキセキ】


眠れない夜が明けて、みんなの優しさが何より嬉しかった


保険に入ってたのか入ってなかったのか?


血の気が引いたどころの騒ぎではありませんでした。


酔いも一瞬で冷め





どっちやったっけ・・・





23時半頃には家に帰った気がします。


そんな夜中に折り返しがあるはずもないのに


保険屋さんからの電話をまだかまだかと待ち続ける。





もし保険に入ってなかったら?


もし燃えた建物とか弁償って言われたら?


自分の仕事や持ち物だけの事じゃすみません。


10年も借り続けた150坪の倉庫、


中にはいろんなものが入っています。





何百万円もする木工機械達や、アンティーク家具、


持ち運び用の電動工具にパソコン、


金額換算していくらになるのか見当もつきません。


どう考えても数千万円にはなる規模・・・





ビールはお腹パンパンでもう飲めなくて


焼酎を水割りで飲んでました。


ネットで「火事」「賠償責任」「火災保険」と検索しまくり


そんなことしてもどうにもならない事は分かってるのに


それでもなんだか気になって


眠たくなんかなる筈もなく、


朝方、すっかり空も明るくなった頃に


やっと横になりました。





朝になりました。


2〜3時間後かな、


8時には目が覚め、頭に全く入ってこないテレビを見ながら


ルーツファクトリーに行く準備を


ほんの数分の距離なので


10時(定時)には全然時間があります。


まったく落ち着かない、とても長い朝の時間でした。





10時に出社して現場検証がはじまりました。


20人ほどの警察と消防の関係者の人が


焼けた2階に上がり、火元の特定の為に


燃えカスを調べ始める中


火災が起きるまでの状況を聞かれました。



現場検証には総勢20名以上の消防&警察の人が





でも、聞かれても答えれる事もなく


「京都で飲んでました」


と答えることしかできません。





まだこない保険屋さんからの連絡を


ドキドキドキドキしながら待ちつづけて、





お昼前だったと思います。


携帯電話に着信が、


保険屋さんです。


「もしもし!」


「お世話になってます。」


「どうでしたか!?」


「はい、それがですね・・・」


「はい!」


「ご契約内容を確認したのですが・・・」


「はい!!」





「火災保険には入ってました。」





全身の力が抜けるほどの安堵感、


浮かんだのはたった一言





よかった・・・





続いてたその会話の内容、


言いにくそうなトーンの理由は


あまり大きな額の保険ではなかったという事でした。





燃えたものを全てカバーするにはとても足りない額、


でも、


建物の賠償だったり、弁償したりしないといけないもの


そういった責任に対してはカバーされてる。





なによりです。





自分のものは何とかなります。


お金はないけどまた買えばいいし


つくったものもまたつくればいい。





あっそうそう、火事の日(つまり昨日)


現場に上がってすぐに家具の確認はしていました。


オーダーメイドでつくった納品待ちや


自社の商品はかなり悲惨なことになってましたが





リメイクでお預かりしてる素材は無事だったんです。





この時点でまずはひと安心、他のものは





またつくればいい。





だから心配事は賠償が発生したりする場合に


保険に入ってるかどうかが一番気になってたんです。


もちろん燃えた自分のものも気にはなってましたがw





とにかく火災保険に入ってたことが分かり


次にどうするか?に目を向けれるくらいにはなりました。





現場検証、2〜3時間で終わるんだと思ってました。


なんとなく。



朝から入れ替わり立ち替わりたくさんの車と人が来ました





全然終わりませんw





真っ黒けで何が何だか分からなくなった炭を


あっちからこっちへひとかけらずつ調べながら運ぶ。


「外出してきていいですか?」


「いえ、聞きたいことがあった時のためにいてください」


「はぁ、何をしとけば」


「その辺にいてください」





暑い夏の盛りの日、


外でボーっとただ待つ時間


「・・・」


となってました。





そんな時、バイクの音がしました。


現れたのはお友達のWEBデザイン会社の社長さん


プライベートでもお友達なのですが


春にルーツファクトリーのWEBのことでいろいろお願いしてました。





火事のことを聞いて真っ先に駆けつけてくれたんです。



火事場でハッピーポーズ。気をとりなおすしかないですからw





めっちゃ嬉しかったです!!


それだけじゃないですよ!





それから何人もの方が心配して様子見に来てくださいました。



わざわざ作業着まで着て来てくれた人も





現場検証の真っ最中なので片付けはできない状態だったのですが


作業着を着て駆けつけてくれた人も


ちなみにこの人は飲食店の従業員さんですw



お客さん(お仕事中に寄ってくれた)まで来てくれました





お客さんも来てくださいました。


作業着はお仕事中。


心配して寄って下さったんです。





他にもたくさん来てくださったんですが


その中に同業(家具屋さん)の社長さんがいました。


上手工作所という木と鉄の家具をつくるカッコイイ家具屋さんなんですが


心配して来てくださったんです。





実は上手工作所さんも以前火事で大変に苦労された経験があり


それもあって火事の大変さをすごくご存知の方なんです。


火事の後に何が大変か、何が必要か、をすごくご存知で


お見舞いだけでなく


ものすごくありがたいお誘いをいただいたんです。





「落ち着くまでうちの工場使って良いよ。」





とりあえず保険に入ってたことはひと安心でした。


でも明日からの予定なんて全く決まってなくて


どうして良いやら分からない状態。


道具も工房も全部燃えちゃったり消防の水でどうしようもなくて


なんの予定もなかったんです。


まぁ突然の火事だったんでそりゃそうですけどねw





ありがたくお誘いに甘えることにしました。


「明日とにかく一度お邪魔します!」


とお返事しました。


お忙しい中駆けつけてくれたので


急いでまた帰られました。


上手工作所さん、人気でとっても忙しい家具屋さんなんです。





そうこうしているうちに


長い時間かかった現場検証がやっと終わりました。



いろんなものがすっかり燃えました。





火事の原因は40年前のトランスという電源設備


ブレーカーみたいなやつらしいです。


ミシン室の壁の奥に埋まってた設備です。





ルーツファクトリー工房は賃貸でした。


建った当時に使われていた電源設備が


壁の中に放置されてそのままだったんです。





「断定はできないけども」


との前置き付きでしたが、それが通常のようです。


保険の次にものすごく気になっていたこと





なんで火事が起きたの?責任は?





の答えが出たんです。


火の不始末ではもちろんなく(すごく気をつけてた)


私たちが使ってた機械等からの出火でもなく、


建物の設備からの出火


つまり





どうしようもない不運だっただけ





だったんです。





めっちゃ嬉しかったです。





火事で嬉しいってのも変ですが、


自分たちのせいじゃない、ということ。


誰かに迷惑をかけたり(結果かけてますが)じゃないってこと。





もし、自分たちの過失だったら


全然話は違ってきます。


自分たちが困っただけなら


なんとか頑張れば良いだけ。





その晩はぐっすり眠れましたw

8/2、火事から2日目、なにもできない…でもっ!


翌朝、さっそく上手工作所さんにお邪魔しました。


ちょうど借りたばかりの倉庫があるから


そこをしばらく使って良いよ、と言っていただきました。



焼肉本舗さんではありません。上手工作所さんですw





とりあえず臨時の作業をする場所はできました。



まだ何をどうするかも決まってない状態ではありますが


一歩前に進みはじめたのです。





上手工作所さんでお話だけして


ルーツファクトリーに帰ってきました。


まだ何ができるわけでもないけど


とりあえず居ようと思って。





と、いうのも


警察、消防の現場検証は終わったものの


保険は全然別らしいのです。


何が燃えてどんな被害状況で


どれくらいの損害額なのか


僕が火をつけてないか





大事な工房を誰が火つけるねん!





て話ですが


手続き上


保険会社の調査が必要らしいのです。





つまり





現場を片付けてはいけない。





つまり、することがないんですよね。


片付けちゃって


調査ができないから保険適用外!


とかなったら困るので


火事場でボーっと待ってるだけw





またもや「どうしよか?」


ってなってると、





来てくれたんです。


この日もたくさん!!



システムエンジニアのお友達も来てくださいました





めちゃくちゃ嬉しかったです。


これからどうしていくかは置いといて


「頑張っていいんだ」っていう希望、


心配して見守ってくれてる人が


こんなにもいっぱいいるってこと、





それがめちゃめちゃ嬉しかった。





うっかりして写真撮れなかった人もいっぱいいます。


すいません。



鉄工関係の工場の方も来てくださいました





なにもできない間、


現場で「これからどうしよう」を考えながら


心細い時にかけてもらう声「大丈夫?」


それがどれだけ嬉しくて、心強くて、元気をもらうか


この時ほど感じた時は今までなかなかないですw





そしてこの日駆けつけてくれた人の中に


宮崎のカリスマと淡路島のカリスマがいたんです。



宮崎と淡路島のカリスマも来てくださいました





春に宮崎に視察に行きました。


なんの視察?


宮崎にものすごい人がいるんです。





長友まさみ さん(気になる人はググってください。すぐ出ます)





何年か前にご縁を頂いて


そこから機会があればお会いして飲んだり遊んだり、


お友達なんですが





「宮崎でなにかやりたいね!」って話してて


そんな流れで宮崎に行ってきたんです。


その時すごく色々な刺激を受けて


この夏にまた行く予定だったんです。


その直前の火事、


「もう来れないよね?気にしないで」


と気遣ってくれたんですが


即答で「行く!!」


と言ってました。


なんだか





どうしても行く必要がある





気がしてたんです。


そしてこの





「2回目の宮崎視察」





は、後ですごく重要な出来事になってくるんです。


もちろんこの時はそんなこと知りませんがw





そして一緒に来てくれたもう一人の人、





淡路島のカリスマ、金山さん。





この人、近いうちにカンブリア宮殿かガイアの夜明け出ると思います。


ほぼ間違いなく。


オファーあるかどうかは知りません。


この人が仕掛けた事業は


いつもとんでもないことになるんです。


現在各地に講演で引っ張りだこ。





代表的なのは





道の駅うずしお





金山さんが入ってとんでもない事になったんです。



大人気たまねぎキャッチャー





淡路島でめっちゃ熱いスポット


この人があんな人気にしちゃったんです。





たまねぎキャッチャー





ヤバイでしょw


これも金山さんです。





稀代の仕掛け人なんです。





そしてこの時の金山さんとの会話も


後でとんでもないご縁につながっていくんですね。


世の中本当に不思議な事だらけ。





なにがあるか分からないけど





すべては縁でできている。





そう思います。





いろんな事がはじまるきっかけだった火事からの2日間


でもこの時はそんなこと知る由もなく





みんなの優しさが嬉しかった☆





そんな2日間でした。





そうそう、「消火の邪魔だから動かせ」と言われた車は


こんなことになってました。



焼けた何かが降ってきて、焦げたりガラスがヒビ入ったり





エンジンは元気にかかるんですが


フロントガラスにはヒビ、


ボンネットや天井には無数の凹みと焼けた跡、





完全なるマッドマックス仕様w





これからしばらくこの車と共に

あちこち走り回ることになるんです。





この後にはじまる


宮崎でのこと


淡路島でのこと


どっちもすごく大きな出来事につながるんですが


それはまた別のお話でゆっくりと・・・





眠れない夜を過ごし


朝になると、不安事がどんどん消えていく


崖っぷちには違いないけれど


たくさんの優しさに元気と勇気をもらって


思ったこと





明けない夜はない。信じて進む大切さ。





翌日からも、


もちろんアドベンチャーw





つづく・・・


第3話:出会いと別れ。現実、それは過酷で果てしなく、残酷で無慈悲?「火事からの5ヶ月のキセキ」








「家具作りたいおっさん」阪井




お正月SP連載ブログ 全12話

〜ROOTS FACTORY火事からの5ヶ月のキセキ〜


2016年7月31日、火災でほとんど全てを失くした絶体絶命のピンチから5ヶ月、たくさんの優しさとご縁に支えられ「ありがとう」では到底足りない感謝の気持ちと万感の思いを込めて綴った5ヶ月間のキセキです。




第1話:え?まさかウチが!?火事は突然に

第1話:え?まさかウチが!?火事は突然に【火事からのキセキ】



第2話:開けない夜はない。信じて進む大切さ。

第2話:開けない夜はない。信じて進む大切さ。【火事からのキセキ】



第3話:出会いと別れ。現実、それは過酷で果てしなく、残酷で無慈悲?

第3話:出会いと別れ。現実、それは過酷で果てしなく、残酷で無慈悲?「火事からの5ヶ月のキセキ」



第4話:宮崎へ行く理由。どこで誰がなにをするか?


第5話:宮崎から戻ってからの1ヶ月。愛媛に淡路島に授業に谷4に船。


第6話:やっとはじめられた片付けと、長い長い長い待ち時間。


第7話:GAME OVER寸前!やっとバトンをもらえたリレー走者とタニヨンベース


第8話:宮崎からの偶然の連続。とんでもない割烹「和楽」


第9話:季節とともにリズムが変わる。たくさんの気づきと…


第10話:衝撃的な大失敗!決死のプロモーション大ゴケ!!でも…


第11話:店長浜ちゃんの卒業と一風変わった求人。気持ちの距離を縮めたい。


第12話:最高の5ヶ月間の体験。全ては縁でできている!




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